① ある日曜日、私はお父さんと、十瀬野公園に出かけました。
その公園には、何のためにつくられたのか、大きな石碑が建っていました。私はその石碑の前に立ちどまり、その石碑を指しながら、
お父さんに
「字がほってあるけど、なんて書いてあるの?」
と、たずねました。
「中国殉難烈士慰霊之碑(ちゅうごくじゅんなんれっしいれいのひ)と書いてあるんだよ。」
「なんのためにつくられたの?」
おとうさんは、何か考えているような顔つきをしていました。
「おとうさん、早くおしえて!」
おとうさんは、慰霊碑の前に腰をおろしながら
「この慰霊碑はね・・・・」
と
、
話しはじめました。何年も前のおそろしい花岡事件のことを。