37  その部隊長らわ
ああ その部隊長---
骨がらみにやつても はがねのように
おとろえしらぬ 部隊長
とわいえ---いきおいにわ勝てぬ
悲しい戦場に なかまわ つぎ つぎに
力つき たおれ とらわれ---
戦つてわしりぞき とうとう見えなくなつた


この部隊長わ 今も生きのこつて 中国にいる

一隊とともに 海をわたつて かえり
国をうつた蒋介石との たたかいに
大陸をかけめぐつているど
中国の 人民解放のしあげのために
そして アジアの国々の人民解放の
とりでを かたく うちきずくために



   38  た ぬ き じ る
おら達 みた---
一本捧につるされた
骨が折れ 片手もぎとられた
中国の若衆だち
1人としてうめきもあげなかつた

大館のケイサツ前さ はこんでくるやつら
“たぬきじるさ”と うそぶいた
地主めらのおそれ にくみきつたつらつき
けん兵のあざわらい
しばられて手むかいできぬものを
なおも竹やりでつき 捧でなぐり
その時 ひんむいた あの人がたの
まなこの光りよ
犬をさげすむような
無言の あのまなこの輝やき




   39  ひろばのごう問
共楽館まえの ひろばわ
この世の 地ごく
いきもたえだえの あの人がたを
三角捧さ すわらせ
くそ小便にも 2人つなぎ
ギラギラする ま夏のまひる
銃床だ 捧だ 刀のさやだ
いきもつかせぬ
のませず くわせぬ3日間
おらだちわ あきめくら みたいに
ながめて いたばかり



   40   血 だ ま り
くされ まぐろか
くたばつた馬か
おりかさなつて トラックからけおとされた

2人ずつ しばられたまンま
そのところ---花岡共楽館のひろばわ
いまも あの人がたの血が にじんでいる

 その血わ ぬぐいきれぬ
この世の 犬ちくしようめらのいるかぎり
いまもなお そのひろばに---



   41   草 だ ん ご
あまりの いとしさに
そおつと ひざかぶちかく
草だんご ころがしてやつた嬶
あの人がたの1人が ひざで
それをかきよせた
いきなり それをけん兵がけたおし
嬶らのつらをガンとぶんなぐつたど



    42   針 が ね
共楽館の中からわ
身のけだつうなり
ぶつたたく にぶい音
びん びん ゆれる針がねに
親ゆびくくつて つるしあげ---
肉がむけ 指がのこつたど
あとできいておらだ
からだが ずんとしびれてど

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